プロフィール
俳優・演出家
井上弘久
Hirohisa Inoue
1952年、東京に生まれる。
高校在学中から演劇に興味を持ちはじめる。
1973年(21歳)、つかこうへい作『熱海殺人事件』(劇団架空劇場旗揚げ公演)で初舞台。
以後、同世代の仲間たちと劇団活動を続けるが、いつしか限界を感じて退団。
1977年(25歳)、劇団転形劇場の『小町風伝』(作/演出 太田省吾 主演 佐藤和代)を矢来能楽堂で観る。
その舞台の美しさ、佐藤和代の全編無言の演技に衝撃を受ける。
1979年(27歳)、転形劇場(太田省吾 主宰)の研究生試験を受験。第一期研究生となる。
1980年(28歳)、同劇団員となる。『裸足のフーガ』(太田省吾 作/演出)が転形劇場での初舞台。
1981年(29歳)、『水の駅』(太田省吾 作/演出)で男aを演じる。
この沈黙劇は『小町風伝』と並ぶ転形劇場の代表作となり、『水の駅』と『小町風伝』の少尉役で、
海外を含む多くの舞台に立つことになる。
そして『水の駅』のきわめてゆっくりとした身体の所作と、言葉を一言も発語すること無しに、
劇の時間を紡いでいく演技意識が、
現在の独演『椿の海の記』全十一章(原作 石牟礼道子)の舞台を生むことに繋がるのである。
1988年、転形劇場解散。
1990年(38歳)、劇団uフィールドを結成。『グレー』(作/演出 井上弘久)を上演。
以後2011年の劇団解散までの22年間、役者でありながら、劇作・演出をおこなう。
代表作として、2002年の『女中たち』(作 ジャン・ジュネ)。2007年『孤独な老婦人のために』
(作 マテイ・ヴィスニユック/演出 井上・森屋由紀)。
2011年(59歳)、uフィールド解散。
2013年(61歳)、井上弘久ソロライブ『町でいちばんの美女』を上演。アメリカ人作家チャールズ・ブコウスキーの小説を、会話も地の文もすべて覚え込んで、登場人物もすべてひとりで演じきる。
独特の演技スタイルは作家の青野聰から「朗読演劇という分野の正統なはじまりとなる」と称賛される。
2015年(63歳)、フランツ・カフカの『変身』を上演。好評を博す。
2018年(66歳)より、石牟礼道子原作、独演『椿の海の記』全十一章の連続上演を開始。
2023年現在、独演『椿の海の記』全国行脚公演を遂行中。(現在満70歳)
コントラバシスト
吉田水子
Minako Yoshida
東京藝大、桐朋学園大学研究科卒。
躍動感あふれる伸びやかな演出で、
ラテン、シャンソン、タンゴ、映画音楽など、
演出と弾き語りでジャンルの垣根を超えて活躍している。
井上とはブコウスキーの「1ドルと20セント」カフカの「変身」での共演を経て、「椿の海の記」の音楽を担当。
時に自身の作曲した楽曲も織り交ぜての演奏で、
独演「椿の海の記」には不可欠のパートナーである。